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「鈴ちゃんがあたしの後輩なら、あいつとは違うのね」
「あいつ?」
「あたしのイトコも通ってんの。三年だったかな」
「たまにここにも来るからその内会えると思うよ。運が良ければ、いいものが見れるかもしれないしね」
首を傾げると、ふたりとも意味深に笑って「見てのお楽しみ」と口を揃えて言った。
「どんな方なんですか?」
「可愛いげのないガキよ。小さい頃も生意気だったけど、更に磨きがかかっちゃって」
楓さんがムスッとしてカフェラテを飲んでいると、司さんが補足した。
「クールで優しい人だよ」
「あれはドライって言うのよ! そのくせそつなく何でもこなしてムカつくわ」
悔しいと顔に書いてある。
仲が悪いわけではないらしい。
「いつか会ってみたいです」
「気をつけたほうがいいわよ鈴ちゃん。あいつ顔はいいけど愛想ないから」
言われて、今までの人たちを思い返した。
「嘘がなければ愛想はなくてもいいと思います。いくら顔が良くて愛想が良くても裏切る人間は多いですから」
笑顔で簡単に、人は人を裏切る。
「愛想はないけど嘘は言わないよ。それは俺が保証する」
「確かにね。それはあたしも保証するわ」
それを聞いて会うのが楽しみになった。
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