158人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「……誰に?」
「鈴に」
「何が?」
「好きな人?」
「なんでそうなるの?」
「だって、携帯ずっと見てるから連絡したい人でもいるのかと思って」
呆れつつ、一応答える。
「……出来てない」
「その間はなんなのよ」
「呆れてただけ」
「でも、鈴は時間とメールに着歴見たら、普段はあんまり携帯見ないじゃん。だからもしやと思って。そうだったら嬉しいなって思ったの」
悪気はないと思う。
私が恋愛絡みの話題に関しては、良く思っていないことは知っているはずだから。
「残念でした」
「じゃあなんで携帯見てたの?」
気になる。
でも、ただそれだけ。
「時間見ただけ。バイトのこと考えてたの」
「なーんだ」
ピアノの音が、似てるせい、か?
私は前にもあの音を聴いている。
相手の顔も名前も思い出せないのに。
「もうバイトに行く時間?」
「うん。早めに行くよ」
思い出せないのはモヤモヤするけど、同時に思い出したくないとも何故か思う。
「頑張ってね」
「うん」
関わらなければ、どんな理由があろうと関係ない。
、
最初のコメントを投稿しよう!