~クレシェンド~

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大学生といっても、入学してまだ半年も経たない。 フリーに入れるわけじゃないから週に三~五日、大学が終わってから時間は短いけど入っている。 学費と家賃は出してもらっているから、生活費ぐらいはなんとかしたくて高校から続けている本屋のバイトを今でもやっている。 本の補充をしていると、背中をポンッと叩かれた。 「やっぱり、鈴だ」 「月斗君」 「ここでバイトしてんの?」 「うん」 周りを見ると、前のように連れがいるような感じではなかった。 「今日はひとりだよ。ゴメンね」 「……なんで謝るの?」 「なんとなく、かな」 月斗君の手元にはバスケ雑誌に今日発売されたハードカバーの本。 「上総に頼まれたんだ。今日バイトだから買いに行けるか分からないからって」 ハードカバーの本を見ながら、少し笑ってしまった。 「月斗君はこういうの苦手そうだね」 「俺は漫画のほうが好き」 「月斗君はバイトしてるの?」 「コンビニでね」 「そっか。貸して。従業員割引してあげる」 「マジ? サンキュ。じゃあ今度俺のバイト先おいでよ。お菓子なんでも買ってやる」 レジに向かう途中、意外なお誘いに嬉しくなった。 「ありがとう」 、
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