~アレグレット~

5/13

158人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「オレたちちょっと早く来たみたいでさ。良かったら君の友達が来るまで話そうよ」 「写メでも見たけどカワイイね。オレ来て良かった」 「オレも。ひとりで来たの?」 よく分からないが、おそらく教室で言っていた合コンの相手らしい。 いつの間にか友人らしき人が増えていた。 こんなところで待ち合わせなんてするな、と叫んでしまいたかったけど、場所が場所である。 「違います。私関係ありませんから」 「だって、梨咲(りさ)からのメールに君写ってたよ?」 梨咲が誰だか知らないけど、余計なことしてくれる。 新手のイジメかと考えたが、関わりたくなかった。 「とにかく違うから」 「えーじゃあ君も参加してよ」 「イヤ」 「多いほうが楽しいじゃん」 「私は苦痛です」 「名前なんていうの?」 「答える必要ない」 とにかく、このアホな連中から抜け出して、待ち合わせ場所を変えよう。 「それじゃ」 「ちょっと待って」 強い力で腕を引かれ、バランスを崩して持っていたオレンジジュースが胸元を濡らした。 「バカ! 何してんだよ!」 「悪い! 大丈夫!?」 「……最悪」 グラスを置いて、設置されているおしぼりを手にとって、台や床が濡れたところに置いた。 それに、最悪なのはこれだけでは終わらなかった。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加