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相変わらずの自信。
何の根拠もないのに、まるで私の"負け"が決まっているかのように笑う。
「どうなったかちゃんと知らせろよ」
「分かってるよ」
ムッとしながら返事をすると、拓は大きな手を私の頭にポンッと置いた。
「本当に変わってないな」
懐かしそうに目を細め、手に取った髪を指先で遊ぶ。
「当たり前でしょう。高校卒業したのだってまだ半年も経ってないのに」
懐かしいと言うには、少し早いと思う。
「賭けもさ。最後まで俺の勝ちだったな。最後にした賭け、スズ覚えてる?」
「……それは賭けの内容? それとも、負けた私への罰ゲームのこと?」
今思い出しても腹が立つ。
「罰ゲームのほう」
イタズラを考えるのもいつも拓だった。
「あれがキッカケで俺、芯さんと仲良くなったんだよな」
「……そーだね」
当時の私は、芯さんに対して今以上に興味がなくて素っ気なくて。
拓なりに気を遣ったんだと知ったのはずっと後だった。
「未だに言ったことないだろ?」
「言う必要がどこにあるのよ」
「いいじゃん。一回ぐらい」
「なら、拓が呼べばいい」
「男に言われても嬉しくない」
「私から言われたって変わらないでしょ。妹がいるんだから」
義理なんかじゃない。
血の繋がった妹。
本当の家族が。
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