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「そんなことでいいの?」
「何話そうなんて考えなくていいんだよ。話題がなければ自分の好きなこと話したくならねぇ?」
そう言えば、高校の時、私といたとき拓はハマッている漫画のことやクラスメイトのバカ話をしてくれていた。
「……私は」
「無理に話そうとも思うな。ただ話を聞いてくれる。そうしてくれる存在がいてくれることも、俺にしたら大事なことだと思う」
いつも思っていた。
私と一緒にいて楽しいのかと。
だから、大学は気を遣わずにひとりでいようと思った。
紗英は少し拓に似ていたから、突き放すようなことは言えなかった。
それどころか、芯さんのことを話しているから甘えているも同然。
「スズはスズらしく、でいんじゃねぇの。器用なほうじゃないんだから」
「……分かってる」
「とか言って、たまに無茶するじゃん。焦んなよ」
小さく頷いた私に、拓は優しく頭を撫でる。
「今までの賭けは俺の全勝だろ? 忘れんな」
拓の笑みを頼もしく思いながら、今回は連勝も止まるかなと考えていた。
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