158人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「鈴も早かったんだね。連絡してくれたら良かったのに」
「レポートしてたんで」
「それにしても、さっきの言い方はキツイんじゃないか?」
「芯さんには関係ありません」
「関係はあるだろ。鈴は俺の妹なんだから」
「義理じゃないですか」
このやり取りも毎度のこと。
「今日はなんですか?」
「その前に、彼は鈴のオトモダチ?」
視線を追うと、さっきの男性がこちらを見ていた。
直ぐにそらされたけど。
「彼、ずっとこっち見てたみたいだよ」
「たまたまじゃないですか?」
「厄介な男に捕まるなよ?」
……芯さんに言われたくないんだけど。
「そこまで干渉されたくありません」
「分かってるよ。それより今度の週末は帰ってくる?」
「バイトがあるんで行けません」
「顔ぐらい見せておかないのか?」
「学費に家賃まで出してもらってるんで生活費ぐらいはなんとかしたいんです」
「心配してるんだよ?」
「大丈夫ですから。おかげで一人暮らしも満喫してます」
ため息と肩を竦めた芯さんの向こう側に、例の男性陣が会計していた。
あんな女相手でも支払いを持つなんて、来るだけ時間の無駄だったろう。
可哀想にと同情して、あのふたりを探した。
最初のコメントを投稿しよう!