~センプレ~

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「お疲れでーす。あ、鈴ちゃん顔色良くなったね」 休憩に入った加納さんに言われ首を傾げた。 「そんなに悪かったですか?」 「うん。倒れるんじゃないかと思った」 心配かけたのを申し訳なく思いながら、時計を見て戻った。 「お疲れさまでした」 バイトも終わり、この後のことを考えて足が重くなる。 「鈴ちゃんお疲れ。良かったらご飯でも食べに行かない? 川上さんも一緒だけど」 「……おい、なんか遠回りに邪魔だって言われた気がするぞ」 「そんなこと言ってないでしょう。小さいこと気にしてたら出世できないですよ」 「お前にそんな心配されたくない」 ふたりのそんなやり取りに、思わず笑ってしまう。 「誘ってくれてありがとうございます。今日はちょっと行くところがあって行けないんです」 「そうなんだ。また誘うから都合良かったら行こうね」 「はい」 駅まで一緒に三人で歩く。 主に加納さんが喋って、川上さんが突っ込みを入れていた。 いつもとは違う路線。 ふたりと別れて余計に静かになった。 周りはアナウンスや車や電車の音。 人の声で溢れているのに、私の周りは静かだった。 歩く度に、家に近づいていく。 懐かしさよりも過去を思い出さずにはいられなくて、家の前で足を止めた。
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