~センプレ~

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「鈴が希望するから背中は押したけど、本当はもっと上の大学狙えたんじゃないかって、少しだけ残念がってたぞ」 在学中にそれとなく言われたのは覚えている。 でも、一番近いところで希望する学部があればそれで良かったから、興味なかった。 そもそも、働くと言った私に律子さんと孝文さんは首を縦に振ってくれず、大学に行ってくれと頼まれたのだ。 「元気そうで良かったです」 「あたし、あの担任キライ」 だろうなと思った。 和やかな雰囲気に、燦の素っ気ない声で一瞬静寂に包まれた。 「なんでだ? いい先生だろ」 「だって色々ウザイし。それに」 燦の視線が私に向けられる。 こういう時は、決まっていいことは言わない。 「誰かさんと比べられてムカつく」 燦の成績は下の中。 陰ながら律子さんは気にしている。 「じゃあ、鈴に教えてもらう?」 芯さんがとんでもないことを言う。 「え゛ーあたし、芯兄がいい!」 「私も教えるのは苦手です」 私たちの反応に芯さんは苦笑い。 分かってて言わないでほしい。 「芯に教えてもらうんだから、ちゃんとしなさいよ。成績がこれ以上悪くなるなら塾か家庭教師考えてるんだからね」 律子さんからの言葉に燦が黙る。 「まあまあ。その時は鈴に頼もうよ」 「絶対イヤ!」 にこやかな芯さんとは逆に、燦は物凄く拒否反応。
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