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「ちょっとすみません。すぐ戻ります」
席を立って会計している連中に近づいて周りを見ても、あのふたりの姿がない。
「ねぇ、さっきタオル貸してくれた人は?」
「先に外出て、都神といるよ」
私から話しかけられるとは思わなかったらしく、若干驚きながら答えた。
外に設置されている灰皿のところに、ふたりともいた。
タオルを貸してくれた人は私に背を向けていて、タバコを吸っていた彼と目が合った。
ドアを開けると彼も振り返る。
「あーさっきの」
やっぱり笑った顔は可愛い。
「あの、タオルありがとうございました。帰ったかと思って」
「もうすぐ帰るけどね。つまらないから先に出ただけ。服、本当に大丈夫?」
「私ももうすぐ帰りますから」
今日はコレを理由にさっさと帰ろう。
逆にいい口実になった。
「あの、連絡先教えてもらっていいですか? タオルすぐ返します」
「じゃあ上総から俺の連絡先送っておいて」
上総という人も、なんでという顔で見ていた。
「俺、携帯忘れたじゃん」
めんどくさそうに携帯を出して操作をして、私に携帯を向けた。
「送る。受信して」
「あ、はい」
受信してふたり分のアドレスを登録。
私の連絡先も送った。
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