38人が本棚に入れています
本棚に追加
なんとなく話を逸らされた気がして、このまま逃がすのはなんとなく悔しくて。
「で、結局、“家”には帰らないわけ?」
遠慮なんかせずに、直球で聞いた。
だって、こいつは。
「あは。なに、お説教?江口くんらしくないね」
今度はわざとらしく声を出して笑って、軽く受け流したけど。
こいつは、家に帰らないことで有名だ。
いつも友達の家に泊まって、学校に来て、また友達の家に泊まる。
お得意の、広すぎるツテに頼って生きているようなもので。
真子って奴も、泊めてもらうから待ってるんだろう。
視界の端で堺が窓の外を見たから、そちらに目を移せば、雪が降っていた。
堺は子供のように、窓に張り付いてその様子を見ている。
最初のコメントを投稿しよう!