10人が本棚に入れています
本棚に追加
「そりゃあ……寂しい時もあるよ。でもお前らみたいに同い年として扱ってくれる奴がいるから、そこまでは気にしてないかな」
陽輝は一瞬表情を崩すが、次の瞬間には笑顔になっていた。
「伊庭ちゃん、おはよう」
七海と悠美も陽輝に挨拶する。
「七海ちゃんに悠美ちゃん、おはよう」
陽輝も合流し、5人で下駄箱を目指す。
『それにしても、アニキはすげーよな』
泰史が靴を履き変えながら言った。
「すげーって、何が?」
靴を履き、つま先を床に当てながら聞き返す。
『卒業前に成人を迎えられるんだもん、すげーよ』
泰史が真顔で言うが、陽輝は少し傷付いた。
「あんまそのことは言うな。案外気にしてんだからさ……」
陽輝は皆に背を向け、肩を落として言った。
『あ……アニキ、ごめん、ごめんよ』
「いや、いいんだ。年齢以前に、前の学校より何倍も楽しいからな。19歳だけど、心はお前らとタメだからよ」
陽輝は振り返り、吹っ切れたように笑ってみせた。
_
最初のコメントを投稿しよう!