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『アニキが初めて先輩面した……』
「俺だってたまには、人生の先輩としてアドバイスしてやるよ。でもな、俺じゃないにしても同じようなこと言うと思うぞ? なっ、出流」
陽輝が出流に話を振る。
「そうだな、先輩の言う通り。泰史、お前は鈍すぎる」
二人の攻めに、泰史は頭が痛くなっていく……。
『……なんだよぉ、二人ともさー。俺にわかるように説明してよー』
泰史は陽輝に縋り付く。
「ダメー、そんな反則認められませーん」
陽輝は走って教室に逃げ込んだ。
『……』
泰史は黙って出流の方をみつめる。
「……ダメだ」
『ちっ、わかったよ』
泰史は口を尖らせて、出流と共に教室に入っていった。
3人は同じクラスで、出席番号順で陽輝、泰史、出流の席順だ。
泰史は席に向かう際、陽輝をみつめるが、陽輝は視線を爽やかに反らし、吹けもしない口笛を「ヒューヒュー」鳴らしていた。
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