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「花は贅沢すぎぃ~っ!」
同僚の絵里がビール片手に私を睨み付ける。
私は居酒屋中に響く絵里の大声に体をビクッとさせて目を丸くした。
「ちょっと!声大きいって・・・・」
不思議そうにこちらをジロジロ見る周りのお客さんにペコペコお辞儀をしながら絵里の口を押さえた。
そんな事さえ全然気にせずに絵里は弾丸の様に話し続けた。
「花はさぁ~!上司からも利用者さんからも評価高いじゃんっ!私なんていつも田中さんに怒られてばっかりで本当に鬱寸前っ」
絵里は鼻息を荒くしながらそう愚痴るとクビッとビールを飲み、豪快にプハーッと顔をしかめた。
田中さんとは職場の古株で40代独身女性。
見た目が派手な絵里を何故か敵対していて、絵里はいつもこっぴどく怒られていた。
「とりあえずその髪の色とメイクを控えめにしてみたら?」
私は呆れながら笑った。
「無理~っ!この仕事していたら毎日ジャージでお洒落を忘れて老けちゃうじゃんっ!せめて見た目くらいは若くいなくちゃって決めてるのっ!」
「そんなんだから田中さんに目をつけられるんだよ~」
私の言葉に絵里は子供みたいにプーッと頬を膨らませた。
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