エピソード3

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「僕だって安直すぎるとは思っているのですが。しかしどうやってここから出ればよいのか全く…」。「わかるまいのぉ、確かに今のお前には。わしが教えてあげられることはただこの室より外に出る気のあるものにしか発見できぬ秘境に到達したものに授けられる魔法の羽がどこかに隠されているということだけじゃ。だが今のお前の小さき体で秘境へと至るためにはその羽は邪魔でしかないのぉ」。「そんな…」。「今一度むしり取る気はなしか」。「今の僕にはそれをなす動機付けがありませぬゆえ」。「なんだ、そんなことでここから出ることをあきらめる気か?」。 「だってそうでしょう。この羽がいくら邪魔でも僕にとり無傷で手にいれたわけではないのですから」。「お高くとまっておるのぉ」。「お高いですって?」。「うむ、外界に出る気もなし。しかしどうやらお前は存外大きな存在であるはわしにも薄々わかりはするが、内にこもって出られないのを自らの体躯のせいにするのか」。「………」。
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