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いきなり電気が切れ沈黙に包まれる
「ちょっと待ってて、明かりを探してくるわ」
彼女の姿は見えない、黒いローブが彼女を闇に隠している。
ガチャッ
彼女が部屋を出た音が聞こえた
バタン
ドアが閉まる音、いや微かに何かが開いた音が聞こえた気がした。
俺は音が聞こえた方へ少しづつ進む。
「痛っ」
何かが倒れてきている。さらに頭に何か四角いものが少しづつ落ちてきている。
かろうじて支えてはいるがかなり重いので長くはもたない。
パチッ
再び電気が着く
呪術に関する本、落ちてきていた四角いものはそれだった
「あれ軽いな」
そう思い本棚を見るともう本はわずかにしか残っていなかった
「ふう、やっと解放された」
本棚を戻し終え、俺はその場に座り込む
「なんだこれは」
そこには一冊だけ金色の紋が付いている本を見つけた。
『不老不死』
その部分しか読めなかったが禁書であるこの本はここにあってはいけないものだ。
「大丈夫?すごい音してたけど」
そこに静かに彼女が戻って来た。
「まあ大丈夫だ、ただな……」
そう言い俺は散らかった本を指差す。
「なに、この本は、私も初めて見るわ」
彼女も俺と同じように驚いている。
「これを見ろ」
俺は手に持っていた禁書を彼女に手渡す
「禁書!?それをどこで手に入れたの」
「この本棚に入っていた、俺のじゃない」
俺は震えた声で言った、なぜなら禁書に触れてしまった、それも一番恐れられている本をだ。
「ねえ、一度落ち着きましょう、まだお茶残ってるし」
彼女の声も震えている、それどころか全身が小刻みに震えているようにも見える
俺と彼女はティータイムを再開した、たださっきと大きく違うことがある。俺たちは二人とも震えて話せる状態ではないからである。
「あっ」
彼女は紅茶をこぼしてしまった。それも彼女の黒いローブにおもいっきりかかって彼女はかなり慌てている
「おい、落ち着けって、茶がこぼれただけだ火傷をするほど熱くもないはずだ」
「…着替えてくる…待ってて」
「うん……」
彼女が部屋を出ていき俺は窓から外を眺める。
人通りの無い道、枯れてしまった街路樹、そしていつも通りの灰色の空、そんな景色が俺は好きだ、そしてこの窓からはそんな景色が見える
「なんだこれ、なんの図だ」
俺は図に疑問を抱きながら本を机に置き再び外を眺め始めた
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