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幼馴染みでなければこうして歩くこともなかったであろう俺達は、基本昴からのきっかけで話が進む。
だが今日は、普段と違う帰り道の光景に俺が独り言を呟いたことがきっかけだった。
「今日はあの女共いないんだな……」
「あぁ、何か生徒会の行事に今年から【美人・美少女コンテスト】が加わったらしくて、全員候補に選ばれたって。今日は放課後レッスンなんだ」
昴は女達……ハーレム軍団のことを自分のことのように嬉しそうな表情を見せた。
……そのハーレム軍団が増大する毎に苦労するのは俺なのに。
不良に絡まれている女を正義感ある昴は助けに行くが、彼が無事を聞く間に不良を倒すのは結局俺。しかもほぼ毎日だ。
昴も昴だが、倒した筈の俺に女は礼さえ言わないのは当たり前で。
しかも「昴様の隣を歩くのはアイツじゃなくて私なのよ!!」と勝手に僻みを陰で言われたことさえある。
俺達は家が隣同士だ。だから仲良くなったのだが、それすら僻まれることある。
……不平等だ、本当に。
昴に関わる度、女の醜さを知った。
だから。
女は、嫌いだ。
昴を恨んだことはある。
昴がいなければ俺は幸せだった筈だ。
家が隣でなければ。
「……ふざけてる」
「零真、どうした?さっきから怖い表情してるし」
俺は無意識の内に眉を深く寄せていたらしい。更に小さく紡がれた言葉に昴は訝しそうに顔を横に向けた。
「……何でもねぇよ」
誤魔化すように軽く微笑んだ後、少し歩く速度を上げる。慌てて追いかける昴に苦笑を漏らす。
昴といて不快感を感じる時はあるが、楽しい時もあった。完全には恨めない。
だが、これが後に変化した。
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