巻き込まれて邪神になる

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 胸中には黒い感情が蠢いているが、一段と目を鋭くさせた男に、俺も素直に返事して黙るしかないだろ。 「我はな、最低最悪ビッチ世界神の代わりに来たのだ。零真を救う為に」  ……俺を、″救う″……?  思ってもみなかった言葉に、俺は静かに息を呑む。 「んなことして、お前に得はあるのか?……そもそも、世界神を貶して逆らえるって、お前は何者なんだ?」  純粋に嬉しい言葉だった。嘘を言ってる様子も無かったが、素直に信用できる程俺はできていない。  すると、微笑んだ様子を見せた男。 「我は──【邪神】という神だ。邪神の説明は省こう。それはいずれ解る。……得と言ったな?答える前にすることがある」 「すること……?」  怪訝な表情を浮かべた俺に、男──邪神は有無を言わさず俺の額に人差し指を当てた。  「は?」と呟いた言葉を無視され、その後聞いたことのない言葉が鼓膜を震わせた。 「ιθηρποεδξνοπρηλμχ」  すると、俺の身体が闇に包まれた。視界が全て黒に染まる。  ちょ、何だこの状況……ッ!?  もがこうとするも、身体が動かない。  まさか騙された、と一瞬嫌な考えが頭を過ったが、頭の中に直接声が聞こえた。 『大丈夫だ。身を委ねろ……』  ……あーもう、なるようになれ。
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