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「……もういいぞ」
数分後、漸く邪神の声が聞こえた。
いつの間にか瞼を閉じていたらしい俺は目を開けると、少し疲れた様子を見せた邪神の姿があった。
「オイ。どういうことか説明しろ」
「簡単に言えば、邪神のチカラを我から零真に譲ったのだ」
さらり、と。
驚愕の真実が淡々と告げられた。
声も出ない俺に、意地悪くクスクスと笑う声。
「今日から、零真が邪神だ。これで世界神はお前に手出しは出来なくなっただろう。零真はこれから自由だ。邪神のチカラさえあれば大抵のことには苦労は無いからな。……どうだ、素晴らしいだろう」
俺が、邪神。
そう指摘されて見ると、俺自身に変化があったのを感じ取る。
不思議で色々な知識が頭の中に膨大に詰め込まれているし、身体が軽くなった。
勿論、邪神としての知識も、当たり前のように頭にある。
「……いや、素晴らしいし嬉しいが。……本当に良かったのか?」
「我は永い間邪神として生きてきた。そろそろ終止符を打ちたかったのだ。これが質問の答えだな」
「……そうか。なんつーか、ありがとな」
たった一人の……しかもたかが人間にここまでしてくれた彼に感謝しか出てこず、満面の笑みで礼を言った。
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