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溜め息混じりの声色で告げたと同時に、俺は創造した長剣を逆手に持ち、右側を庇う様に構えた。
──刹那、硬い金属同士がぶつかり合う音が響く。
俺は長剣。佐々木は槍の矛だった。
視線だけを彼に向けると、歯軋りをする表情が垣間見える。
直ぐに槍の範囲内で長剣の範囲外である微妙な距離を取る。
この短時間で大分成長したな……。誰かさんとは大違いだ。
「何で、防げる……」
「言っただろ。隙を突くのが甘い。ああいう攻撃された後だったら追撃を警戒するに決まってんだろ」
ご褒美として、一人言にも親切に答えてやる。淡々と告げる俺を他所に、佐々木はあからさまに感情が表に出た。
軽い舌打ちをした後、足を1歩引いて槍を構える。その槍をマジマジと見つめてみたが、溜め息が零れる。
「……ハァ、ネタだったらさっさと頸動脈切って殺そうかと思ったんだが」
自分で言っといて損だ。ネタだろうが何だろうがさっさと殺って魔王達の戦いを傍観したい。
俺が創造した空間に飛ばしたから、大体の情報は入手可能だ。
現在は、魔王が最終形態に入ったとこらしい。
…………ありがち。
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