プロローグ

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「彰、突然なんだけど……これ」  御里は彰に一通の封筒を渡した。 「これは……?」 「彰の両親から、彰の17歳の誕生日を迎えるまで持ってるようにと言われて頂いたの」 「俺への手紙……」  彰は封筒を受け取り、中身を確認すると一枚のDVDが入っていた。それを取り出し、プレーヤーにディスクを入れて再生した。 『……彰、17歳のお誕生日おめでとう。これを見てる頃にはお母さん達は恐らくもういないと思います。……と言うよりもういないです、笑っ。』 「全く母さんって人は……」 『まあ、茶番はここまでにしといて早速なんだけど、今から話すことは彰にとってとても大事な事なの。だから真剣に聞いてほしいの。心の準備が出来たら、話を進めるよ。 ――お母さんから彰に誕生日があります。それは……《御里ちゃん》です』 「え? どういうこと?」 『今、テンパってるでしょ? でしょ? それじゃあ、さらに付け足して言えば……御里ちゃんを彰の許嫁として、この家で一緒に暮らして下さい。一応、御里ちゃんのご両親から承諾は貰ってるから安心なさい。こんだけ言えば流石のあんたでも分かるでしょ?』  これだけ言われれば、流石の彰でも理解するのに時間は掛からなかったが、何故御里が許嫁なのかがまだピンとこない彰はもしかしたらと思い、続きを見たのだが……、 『何故? っと思っているだろうけど、その辺に関しては、御里ちゃんがちょっと知ってるからそっちに聞いてね! バイバイ』  それを最後に再生が終わった。 「……どういうことだ、御里」 「私、前から彰の事が……彰の事が好きだったの……。友達としてではなく、異性として。だから、彰のお母さんにその事を言ったら、さっきの話になったの……。ねぇ、彰は私の事、どう思ってるの?」 「……俺は、御里の事――」
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