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現在時刻8:10――。
「……っえ!? これマジで遅刻する! 急ぐぞ御里!」
「うん!」
慌てて家を飛び出した彰と御里の2人……。流石に走っても間に合わないと悟った彰は、庭から自転車を持ち出した。
「これで行くから、後ろに乗れ!」
「分かった!」
自転車の後ろに御里を乗せた彰はペダルを力一杯漕いだ。
AM8:28――
本鈴が鳴る2分前に何とか学校にたどり着いた彰、御里の2人は最後の力振り絞って教室まで走った。
結果、2人が教室に入ったのとほぼ同時に本鈴が鳴った。
「…………ギリギリ、セーフ……」
「……危なかった~」
「今日はギリギリだな、ラブラブカップル」
そう言ってヒューヒューと彰達を茶化してくる人物は彰とは中学時代からの友人、菊池智也だ。
「だから俺達はそんな関係じゃねぇよ、なぁ御里」
「え? あ、うん……」
「満更でもないっ顔だな、柊?」
その途端、御里の顔がまるで成熟した林檎みたいに真っ赤に染まっていた。
「まさか、コイツのこと――」
「はーい、HR始めるからみんな席に着け~」
智也の言葉を遮って、担任の先生が教室に入ってきた。
智也は「ちぇっ、もう少しだったのに~」とか言い残して自分の席に戻っていった。 そのとき、御里がほっと安堵の息を漏らしたことに、彰本人は気づいていなかった。
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