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「いらっしゃいませー!」
店員さんの元気な声が入店直後の私に投げ掛けられた。
にこにこと愛嬌を振り撒くその店員さんはまさに店員の鑑と言っても過言ではないだろう。
あれほど自然な笑顔を作り出せる女性というのはそうそういたもんじゃない。
私は笑顔と言うものを作ることが出来ない。
冷静沈着鉄面皮。
中身は一端の女子高生と変わりはしない純粋な夢みる乙女と言うやつなのだが。
そもそも笑顔と言うのは作るものなのだろうか。
作るというよりも溢れる、漏れるというのが正しい本来の笑顔だと思う。
閑話休題。
私はケーキ屋さんにいる。
少々『ケーキ屋さん』というのは可愛らしい表現で私には似合わない気がするが、私の語彙ではそれ以外の名称を思い付けない。
先程も言ったとおり私はジョシコーセーで一般ピープル。
クールな性格をしていたって甘いものは美味しいし、スイーツは大好きだ。
勿論、女子高生らしく体重やらを気にしてはいるのだが、誘惑に打ち勝てるほどに意思の強い生き物ではない。
元来太りにくい体質なのか体重計の針はいつもの位置を行ったり来たり。
太っても1kg、どうせ一週間も経てば-1kg。
もはや我慢するのも面倒臭い。
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