冷たい雨

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 フェンスを越える。一歩足を外せばその先には、「いま」の世界からは消える。その先は闇という人もいるけど、逆を説く人もいる。  みえない……わからないからこそ、それを覗いてみたい。  ――というのは、ある種の建前で。  ――ただ、生に飽きただけ。  けれど、生に飽きたと言っても別段、死に惹かれているわけでもないけれど。  友人が多くいるわけでもなく、恋人がいるわけでもない。学業でなにか得意なものがあるわけでもなく、ただ漫然と生を享受していた。
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