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――ふわり
と、ナニカが頬を撫ぜた。
風にしては有機的で、モノにしては無機的な……そもそもそんな大別さえ無意味とさえ言ってしまえるほどの、ひどく些細な違い。
それでも。
――がしゃん。
背後から消えた音は、無視できなかった。
そして必然、振り返らざるを得なかった。
死というのは、少なくとも私以外には、恐怖、畏怖、あるいはトラウマになるほどの刃をもっている。
眼前で他人が(しかも突発的に)死んでいった日には……などと考える程度に時間をたっぷり(あるいは数瞬。体感時間とは時に絶対時間を狂わせる)かけて、音源を視界に入れる。
景色は、数分前となんら変わらなかった。
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