2話 急襲

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殆ど誰もいない元警視庁本部。警官の姿、取調室というのは全て偽りの話。この組織の正体を知られるわけにはいかないのだ。 今、着々と建物の改造が進んでいた。対テロ組織、【WKN】だ。といっても、工事も最終段階であとはメインシステムの起動を行うだけなのだが。肝心な基本システムが完成していない。プログラマの能力が足りないのが一番の要因だ。 ただ一つだけ稼働しているシステムといえば、警報システムだけだ。今のところ手動操作だがメインシステムが完成すればかなり高度なシステムとなるだろう。 「対テロ組織か・・・。さっきから言ってた所と違うな。流れから言って・・・、極秘って事だろ?」 キルフィスが口を開いた。それも、『面白くない』というような表情で。 政府直属の組織に何ができるのかと、口には出さないがそれが本音だった。法律に縛られ、幾つもの真相を闇に葬ってきたのだから、そう思われても当然と言えば当然である。 明かりが灯っていない廊下を歩きながら周りの様子をうかがう。ところどころにある厚さ50センチ程のシャッター、各部屋についているライセンス認証端末、機械と機械の繋ぎ目から漏れるランプの光。その多くが白であった。おそらく赤はERRORなのだろう。 床にはコンベアが付いている。完成した頃にはこいつが移動の手間を省かせるのだろうな、もっとも、俺には関係ないが。
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