ある男の悲劇その壱

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世の中には、その時代に存在してはいけないものがある。 確か名前は、オーバーツだったか。この携帯の変換に出てこないんだから、間違いかも知れない。 ピラミッドの壁画に見る電球状の絵、ドクロの水晶、南米コスタリカだったかの巨大な石の球体。などなど。 これらは、当時の技術では作れなかったであろうと言われているもので、ミステリー好きには、世界何大ミステリーだとかと言って、定番のネタだ。 メディアは、これにユーフォーを絡めたりして、面白おかしく伝えてくれる。 ある男が山道をドライブしているときに、山道と言っても、相当山深く、もちろん、対向など出来るような道では無い。舗装もされていない部分が殆どで、落石と穴ぼこ、時にはマムシ、時にはサル、猪、リス、きじなどを避けながら進まねばならない。そんな道でも、所々待避場所があり、対向はそこでするようになる。 なんと言っても山深いから、通行量は極端に少ないが、如何せん、工事のトラックに出くわすことはよくある。そんな時には、仕方がない、こちらが下がらなければいけないんだが、待避場所まで延々と下がらなければいけない。 後続車があれば、一緒にゾロゾロと下がる。もちろん、片側は崖であるから、その時のスリルと言ったら、何たらマウンテンの非では無い。 そんな道を男が走っていたとき、男は尿意を催した。男だから、何の問題も無い。その辺の待避所で用を足せばいい。 こんなとき男は便利に出来ている。女と違って座る必要もなければ、パンツも下ろしてしまわなくていい。つまり、最悪人に見られても、汚いケツは見せなくてすむ。その男がそこまで思ったのかは不明であるが、ともかく、待避所でチンコ全開放尿が始まった。 実に気持ち良いものである。カナカナ…近くでひぐらしが、遠くのほうでは、名前は分からないが、山鳥のさえずりが、それらは、男の放尿にも動じる様子はない。むしろ、山に対峙する男の放尿は、大自然に見事に溶け込み、一幅の掛け軸のように見えないこともない。華厳の滝とは言わないが、差し詰め、錦糸の滝と言ったところだろうか。鯉は登らずとも、蟻ぐらいは…登らないか。 「気持ち良い!」 男がたまらず声を上げた時、男の視界に何やら奇妙なものが飛び込んできた。 それは…。続く。
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