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『うわぁ…、もうこんな時間。』
その日は、街に新しいファッション雑誌を買いに行ってた。
帰る頃には、もう夕日が沈みかけている夕暮れ時。
『ん?なんだろう…?歌声?』
公園を突っ切って帰ろうと、足を踏み入れた時にその声は聞こえた。
いや、聴かされた?
『わたしの、……をあな……ましょ…。』
最初は、遠くてあまり聞き取れなかった。
一歩、また一歩と近付く度に、私は胸の鼓動が速くなるのを感じた。
その透き通る様な声。
夕暮れで人が居ないからか、その声に私は耳を、心を奪われるに時間はかからなかった。
『ただ私は願うの、あなたの笑う顔が見たいだけなんだ。』
その、真っ直ぐな歌詞。
その、真っ直ぐな声。
ただ聴き惚れていた。
『だから…、…あっ。』
その声の主は、私に気付いて歌声を閉まった。
『あ、ごめんなさい。綺麗な声で、聴き入っちゃった。』
私は、片手を軽く振りながら照れ笑いしながら本音を出した。
『あ、ありがとう…。』
声主の彼女は、もじもじしながら私を見た。
これが、私の彼女の出会い。
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