__夢十夜

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 自分は透き通るほど  深く見えるこの黒目の  つやを眺めて、  これでも死ぬのかと思った。  それで、ねんごろに  枕のそばへ口をつけて、  死ぬんじゃなかろうね、  大丈夫だろうね、  とまたきき返した。  すると女は黒い目を  眠そうに見張ったまま、  やっぱり静かな声で、  でも、死ぬんですもの、  しかたがないわ  と言った。
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