__夢十夜

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 自分はただ待っていると  答えた。  すると、黒い瞳の中に  鮮やかに見えた自分の姿が  ぼうっと崩れてきた。  静かな水が動いて  写る影を乱したように、  流れ出したと思ったら、  女の目がぱちりと閉じた。  長いまつ毛の間から  涙が頬へ垂れた。  ――もう死んでいた。 _
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