本当の企み

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姫宮君と初めて話した日から、一日が経過した。 まだ一日。 まるで、昨日の出来事が遠い昔のように思えてくる。 お昼休みを知らせるチャイムが鳴り、鞄を持って、いつも通り音楽室へと向かった。 音楽室の中に入ると、昨日のことが鮮明に思い出される。 目を瞑れば、今もあの光景が目の前に広がる。 私はそのままお昼ご飯も食べずに、昨日の余韻に浸っていた。 すると、いきなり音楽室のドアが開く音がした。 私は、余韻から覚め、現実に引き戻された。 「よっ、高野!」 振り向くと、そこには---…片手を上げている姫宮君がいた。 私は、思わず椅子から立ち上がる。 「な、なんで…」 ガタッと椅子を引く音が、派手に音楽室全体に響いた。 「昨日、昼休みもいるって言ってたから……来ちゃった。」
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