第4話 天贈-ギフト-

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「……」  敵を葬り去っても、ウエイブの警戒は解かない。間もなく他の数体の羽根つきのウォーマが宙を滑って飛び込んでくる。 『ハッ!!』  後ろへは行かせない――と頭上を通過しようとしたウォーマを跳躍して蹴り上げ天井へ叩きつけて打ち落とす。だが、素手でここから先に行かせないのは難しいと早めに悟りブレイガンを抜く。 ≪カバっ!!≫ 『あれ、いつの間に引っ付いてたの……まぁ、いいや使わせてもらうよ』  変形したカバ型――ヒッポの名を持つユニットの変形したプレートをブレイガンに装填して、銃口を向ける。隠されていたパーツが展開しブレイガンはブラスターモードへと移行し威力の上がったエネルギー弾が放たれ、被弾した個体がウエイブへと気を向ける。 『キェェッェェェェ!!』 ≪Ride・phase‐highwave≫  グリップレバーをセンターに押し込んだ。増幅して流し込まれた波動は大な球弾を形成して銃口に集約し、引き金が引かれた。  スクラムを組んだウォーマ達には撃ちだされた集約型波動弾を避けることは敵わず、炸裂と共に直撃したウォーマは消し飛んで他の個体も壁に叩きつけられる。 『キェェッェェェ……』  起き上がった残りの三体は背を向け羽を羽搏かせ宙に舞い上がる。完全に恐れをなしたのかトンネルの出入り口に向けて飛び立った。  だが、ウエイブは見逃す気など無い。散会される前にウエイブは前方へスタートダッシュを切り水平方向へ跳躍して即座に左足を前方へ蹴りだした。ウエイブは放たれたように、まるで暴威を秘めた青い波動の槍のようにウォーマを穿つ。  そして、ウォーマの前に着地した時、ウォーマ達は青い飛沫の炸裂と共に爆散した。 「へぇ……やるもんだなぁ、ウエイブ!」 『ん?』  ウォーマが完全に爆散したのを確認していた背後から声が聞こえそちらの方向を振り返る。気配はなかった――案の定振り返ると姿こそは人間だった。ただ、その姿は血で濡れている。 「あっちは後回しにすべきだったか、テメエの戦いは最初から最後まで見ておきたかったが……まぁ、セミュートをあっさりと仕留め切ったんだし弱くはないよなぁ?」 『……』  もう一度、腕に波動を乗せて手刀を構え込む。ウォーマの人間態であることは間違いないと頭の中で確定させる。それにより緩みかけた警戒心をもう一度引き締めなおした。 
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