第4話 天贈-ギフト-

24/37
前へ
/223ページ
次へ
『ヌァッ!!』 『ぐァ――』  振り下ろされた拳がフライングフィッシュをコンクリート路面へ叩き落とす。そして、落下の際にも真上から拳を叩き落した。 『ガッ……!!』  そして、マウントをとって拳を連打する。だが、次の瞬間に禍々しい輝きが倒れ込んだフライングフィッシュから発せられてそれに伴う衝撃波にウエイブが後方に弾き飛ばされた。    相変わらず制御が不安定な為なのか今の衝撃によりウエイブの転身は解かれライドフォームへ戻される。 『くっ……あ――』  顔を上げるとフライングフィッシュの姿はすでになかった。残ったのは青い血だまりのみだ。  外に出て様子を伺えばそこにあったのはさっきの男達の死体だった。 原型は留めているものの――それでも、ここを出るのなら二人の目につかぬようにしたいと思わずにはいられなかった。それと同時にパトカーのサイレンが聞こえてきた。 『ッ……』  ウォーマの介入さえなければ警察と話をする手筈だったのだが――幸い言い訳になる理由は存在する。 『二人とも……目をつぶったっままこっちに――』  トンネルの奥にまで駆けていくが、その時ウエイブは身体中の力が抜けるのを感じて次の瞬間に視界がグラついてその場に倒れ込んだ。アーマーはその場で霧散して海翔の姿が露わとなる。 「たいようくん……!!」  倒れ込んだ海翔に七海が駆け寄る。海翔は顔を上げ七海の方を見る。 「大丈夫……?」 「うん、ごめん――」  以前にあのフォームを使った時よりもコンディションが良かったから制御出来るのではと踏んだが上手くはいかなかった。七海が恐る恐ると差し出された手を取って立ち上がる。 「情けない……な」 《チュミ―》 「なんだ……えっと、名前は『ルカ』だっけか。運んでくれるのか」  モンスターマシン改めてルカと呼ばれたはマシンが海翔の身体を突きながら鳴き声をあげている。 「目立つけど……やすみたいから頼むよ」 ―― ―――  その後、到着した警察は東京から来た不良グループサタン党の残り五人の他殺体を発見した。その他に残った痕跡は青い液体のみだった。  通報したと思われる人物(海翔のことである)は見当たらなかった。遺体の状況からして人間による犯行かどうかも判定がつけがたかった。定石に従って第一発見者兼通報者を疑うよりも先に凶暴な野生生物が現れたから逃げたのではないかと思えるほどに。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1068人が本棚に入れています
本棚に追加