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聖夜を越えて、一年が終わって新しい年が始まり数日が経っていた。三が日が過ぎた朝をのびりと四人は過ごしていた。
「おねえちゃん……」
お茶をすすりながら潤はぽそりと呟いた。
「恋しいのは分かるけど、あんまり言われると姉さんが拗ねるよ」
「拗ねてるのは海翔の方じゃないのぉ?すっかりおにいちゃんが板についてきて、このこのー」
「……」
確かに陽気な海花とそうでない海翔を見比べると拗ねてるのは海翔のようにも見える。海花に抱きつかれながら揺さぶられているのがうっとしいだけかもしれないが。
「わたし、七海ちゃんの電話番号知ってるよー」
「え……無理矢理、聞き出したの?」
「まさかぁ。っていうか、友達相手なんだからアドレス交換位、気軽にさ」
「なら、なおさら又聞きで済ますわけにはいかないんじゃない?」
海翔は小説を捲りながら潤へと視線を移した。海翔としても寂しそうにされるのは少々、複雑な気分だ。ただ、高価なモノをねだるわけでもなく会いたい人がいるというのは可愛いわがままだとは海翔は思うのではあるが。
下手に値が張るよりも厄介な気もしなくではないが。
「わたしから又聞きするのが嫌なら直接、遊びに行ったら?」
「磯貝さんの家がどこかなんて――」
「わたし、知ってるよー!」
すかさず海花が声を挙げるのと入れ替わりに海翔は閉口した。『行け』と言われてるのだと海翔は感じた更に潤が抱き着いてきて、その目が『連れてってくれ』とせがんでいた。
「分かったよ……。姉さん、アドレスはいいから住所を教えて。アドレスは本人から聞く……潤くん、出かける準備するよ」
「……ッ!!」
それを聞いて潤は飛び跳ねるように部屋を出て行き、海翔はそれに着いて行って自分の部屋にまで行った。
「ふぅ……」
だが、決めたとなると途端に海翔の中では不安が沸きあがってくる。
「おにいちゃん……おねえちゃんに会うの嫌なの……?」
「そういうわけじゃないよ……ただ、姉さんと違って分かりやすくデリケートな感じがするっていうか……」
すでに罅だらけのガラス玉をこれ以上壊さずに取り扱う時のような緊張感を抱かずにいられなくなる……と、考えたがウォーマとの遭遇を重ねて何度か死にかけている割にはケロリとしているのではないかと思えてきた。
海翔は上にパーカーを着こむと帽子に三機を放り込んだ。そして、潤を連れて家を出た。
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