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「あ、あの……!」
七海の方が先に海翔の元へと駆け寄る。海翔はその姿を見て、脚を止めて七海が来るのを待った。
「あの、昨日の……その、わたしを助けた――」
「そうだよ。今日、巻き込まれたのも昨日巻き込んだせいのようなものだ。身勝手極まりない話だが正体を知られたくなくて謝れなかった……ごめんなさい」
グッと海翔は深々と頭を下げて今日何度目かの謝罪を口にした。七海はどう言葉を返すべきか分らずおどおどとしながら「顔を上げて……」とだけにした。そして、海翔と入れ違う形で頭を下げた。
「ごめんんさい……迷惑ばかりかけて――」
「あ、あの……」
反応に困ったが海翔は結局七海と同じように「顔をあげて」と言った。だが、簡単には上げてくれなかった為に説得するのに数分かかった。
「……そうだ、学校はどうするんだ?」
「あ……どうしよう――」
「正直に言って休んだ方が良いのではないかと思う、顔色が悪い。何せ、昨日から怪人に遭遇してトドメにジェットコースターに乗ったから無理もないよなぁ?」
≪ちゅ、ちゅみ――≫
海翔はポンッとモンスターマシンのヘッドに力を強めに手を置いた。海翔に対しての生意気な態度は消え失せて冷や汗を書いていた。
「とは言っても、君のおかげで人目を憚らずに変身して戦えたから責めるわけにはいかない、問題は帰りだ。二人乗りでまたさっきのを繰り返す――」
「あ、そうか……バイク。免許、持ってないですよね」
「しかも、二人乗りだしね。どうやら電車かバスがあるらしいけど――君は何キロ出したんだよ、相手は100キロも出してなかっただろうに。撒くつもりは無いって言ったよな?」
海翔は先程ケースから回収したスマートホンと同型の端末を取り出した。ただ、インターネットへと接続することは出来るのでアプリマップを展開して駅の位置を探索する。そして、もといた場所からここまでの距離を算出して慄いていた。
≪チュ、チュミミ……≫
具体的にいくらの速度を出したかまでは聞かないことにした。ともかく、七海には温かい場所で休ませてやりたいと思いながら海翔は歩き出した。
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