第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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 七海の口から悲鳴が上がると海翔は反射的に後ずさった。が、七海はすぐに誰かを認識した。 「大洋……くん?」 「あぁ……」  海翔は七海の顔を確認すると無造作に壁にもたれ掛かかった。よく見てると顔に痣や傷が出来ているのが見えた、壁にもたれ掛かってる様子も疲労を滲ませて気怠そうだった。 「あの、ここは……」   あの時――轟音と閃光に包まれた所で自分は気絶したのだろう。あの瞬間を境に記憶が途切れていた。どこなのかと思って顔を見上げてみると立ち上がっっても頭はぶつからないであろう位置に金属製の天井が目に映りこんだ、床は木の板が敷き詰められ他にもこの空間自体がガタガタと揺れているのを感じた。 「そういえば……なんでここ灯り……」  天井を見上げても光源が見当たらない。だが、自分達の周囲は明るく壁より先は照らされてなくてはいないが天井を見ることは出来ている。 「光源はここだよ」  海翔は上を見ている七海に向けて手に持っているものを差し出した。そこには光を放っているプレートが握られていた。プレートから放たれている光の色は『青』。光ではあるが寒色系のその光は暗闇を掻き消さず、直視しているにもかかわらず目を痛める事のない優しい光だった。 「あ……怪我が……!?」  ここで七海の目に海翔の顔に出来た痣が目に入って反射的に海翔の顔に迫った。海翔もまた条件反射で迫る七海を手で抑えた。 「その怪我……は……どうしたの?」 「ん……スタングレネードで怯んだ隙に5,6人ぐらいに袋叩きにされて……それで、抵抗したら胴体にスタンガンを5、6箇所以上は叩き込まれた。まだ、身体の自由が完全じゃない……ッ」 「あ……大洋くん……!?」  話している途中で海翔は口から呻き声をあげて左脇腹を手で押さえて身体を折り曲げ、七海の前へ横向きに音を立てて倒れ込んだ。七海は 慌てて海翔のもとに駆け寄り脇腹へ目をやる……すると白いシャツの上から血が滲んでいるのが見えた。 「た、大変……!!」 「き、気にしないで……内出血した所がスタンガンで破かれただけだ」
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