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「何度もスタンガン押し付けられて傷口は焼けて塞がれてるよ……血はそんなに流れてないから……心配しない……でッ」
「だけど……わたしのせいで――わたしのせいで――」
さっきの夢が頭の中にチラつきはじめる。それと並行して胸が何かに締め付けられるような感覚が強くなっていって手で抑え蹲る。胸の中の空気の流れがおかしくなる様な――
「……勘違いしないでくれないかな」
「え?」
だが、その流れを断つように冷たい声が響いた。先程、七海が使ってい――もっとも海翔自身が七海に枕代わりにしかせてたものを今度は自分で枕代わりにして横になりながら口を開いた。
「別に助けるつもりがあったわけじゃない。俺が勝手に助けようとしただけだから。助けようとして無様に失敗して拉致られる人数増やしただけだから。つまり、勝手に怪我しようが俺の自己責任だから、あんたに泣かれるとか筋違いなんだよね」
「え、でも……」
「泣かれるとこっちが自分の情けなさにこっちまで泣きたくなるんだよ。誘拐って見抜けなくて、グレネード持ってることも予想できてない自分のバカさ加減にビビってるんだよ」
「日本は銃社会じゃないから『すたんがんぐれねえど』持ってる事なんて……それに、わたし大洋くんに助けられてばかりで――」
七海の言葉を自分達のいる空間が揺れて遮った。全方位が遮られているが外側から車のブレーキのような音が響いた。それを合図に海翔は横たわった状態から身体を跳ね起こした。
「今の……ここってやっぱり車のトラックか何かの中……」
「みたいだね……」
七海に返事を返しながら海翔は腕に目をやって何かを確かめるかのように手を開閉して、次に立ち上がった。そして準備体操というべきか身体を解すかのように全身を動かす。
「だ……大丈夫なの……!?」
怪我を負った身体でいきなり準備運動を始めた海翔を見て七海は飛び上がって、準備運動の一挙一動の度に「あわわ……」やら「はわわ……」と顔の前で手をバタつかせてあたふたと慌てふためきく側で海翔はおかまいなく運動を続ける。
「身体の痺れは和らいだ――脱出するよ」
「え?」
そう言い放つと光源代わりに発光せていたプレートを拾い上げる。そして、腹部に見覚えのあるドライバーを装着しプレートを構え「変身」と呟いた。その瞬間、蒼い波状のオーラが発生し渦を巻くように二人を包み込んでいく。
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