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お巡りさんとなれば電話でもないと呼べないはずだ。そうなれば誰を呼び出したとなるのだろうか。七海としては巻き込まれる人が増えてしまうのではないかと懸念を抱かずにはいられないが。
「もう直ぐ来る……と思う」
そして、しばらくすると二人の耳に何か羽搏くような音が聞こえてきた。七海は海鳥でも寄ってきたのかと思って辺りを見渡すが海翔は音のする方向を見ていて、七海は視線を海翔と同じ方向を向いた。
「来た……かな?」
港の入り口の方向からこちらに向けて何か飛んできているのが見えた。その大きさは掌に乗る程……小鳥ぐらいの大きさだろうか――近づいてくると確かに小鳥に似ているのが見えた。
だが、近づいてくると――その外観が生物のものではない。その質感はおよそ生物的ではなくメカニカルで生物を模して造られた小型のメカというべきか。
《ニューッ》
「えっと……えっ……これは?」
その小型メカは海翔の周りをパタパタと羽搏いてグルグルと周りを回っている。
「他の二体は一緒じゃなかったの?」
《ニュッニュッ、ニューニュー!》
七海には一人と一機が会話しているように聞こえたがどうも気のせいではないらしい。フィクションでしか存在しないような情緒豊かな人工知能が使われているのだろうか、鳴き声の様なサウンドエフェクトを振りまく様は抑揚すら感じてしまう。
「あの……大洋くん、その子は――」
「細かいことは置いておこう。それよりも、悪い知らせだ……天井に穴の空いたトラックとその他二台がこちらに向かっている」
七海は穴の空いたトラックと聞かされても一瞬何のことだとかわからなかったがすぐにその原因が自分たちの脱出により生じたものだと気付かされた。
「こっち……!」
海翔のリストバンドをまいた左手に手首を掴まれ七海の身体は引っ張られ、七海はすぐに海翔に合わせるように脚を動かす。前へと目を向けると灯台が目に入った。
「ここに隠れるの……?」
「あぁ、心ともないけどこれの影に身を隠すしかない……」
扉の前についたが扉は閉まっていて内部には入れそうになかった。二人は仕方なく灯台の裏手にまわってそこで腰を下ろした 。
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