第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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「ユニ――排気音が四つ聞こえてくるんだけど……」 《ニュー》  七海には排気音の判別なんて出来なかった。だが、ユニの目には車が四台映っているらしい。だがユニの話では三台だったはずだ、別の仲間が途中で合流したのだろうか? 「あと二体は間に合わなかったか……」 「これって……」 「刑事ドラマ風に言ったら身柄を引き渡す……とかかな……ん?」 「あ、自分の手を汚したくないから他の人に命令して後々で自分達に引き渡して貰うパターン……アレ?」  お互いに頭の中にポッと出た意見をそのまま口に出していた。そして、二人してなにか頭が回転して同じことを考えて、同じ仮定が浮かんでくる。そして、顔を見合わせる。 「「……もしかして、逃げたこと自体がバレていない?」」 『身柄の引き渡し』に『合流』――自分たちが逃げていたことに気付いているのなら合流はしないだろう。つまり、彼等は自分達のトラックに穴を開けられたことにさえ気付いていない可能性がある。  となると、自分達は運悪く集合場所ににげこんできたということだろうか? 「え、どうなるの……?」 「隠れ続けるしかないでしょう――誘拐命じる程のモノとか相手にしたくないんだけども……」  口ではそう言いつつ、海翔は装着したままのドライバーに手を触れた。先程の移動方法は波動の複雑に制御、操作が必要となり、もう少し休むか『二体の内の特定の一体』に手伝ってもらう為に来るのを待たないといけない。  ただ、普通に戦闘するのなは可能だ――最終手段として人外の異形を打ち倒せる力をただの人間にしか過ぎない彼らを蹂躙するために振うことになるかもしれない。 《……》 「……止めるのか?」 ユニから意味ありげな視線を送られているのに気付いた。言葉にせずに察して言葉を交わすので七海は何の話をしているかが分からなかった。 「矛盾してるけどさ……それは『最悪の選択肢』としておくよ」 『最悪』と頭に付くとは言え『選択肢』と言う事は僅かではあるが選択する可能性は存在するという事だ。逆に最良となるのはここから逃げだす事なのだが。  先手を取れないのは痛いがこのまま隠れていればやり過ごせるかもしれない。このまま成り行きを見守るしかなかった。 ―― ――――  
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