第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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『カッ……』  ウエイブは宙を舞い、そして落下した。落下地点のコンクリートに亀裂、陥没を生じさせてウエイブはその場に転がった。だけど、尚も立ち上がった。 『最悪だ……二体目なんて――……火達磨になった奴がいたのを忘れていたよ』  ウエイブは気配を感じて海の方へと目を移した。同時に人型の何かが飛沫く音と共に水面を打ち破って飛び出しソードチップの隣に降り立った。 『完成したようだな。保険を掛けて海に浸かっていた甲斐があったようだな、ミューラー』 『えぇ、ラルフ様――』   降り立ったもう一体のミューラーという名の男――その身体はエレキイールウォーマという種に属する怪人、種の名に『電気』を関する通り電気を繰ることの出来るその身体はパチパチとスパークの弾ける音を立て続けていた。 『力が有り余っているといったところか?』 『えぇ、早速……ためさせてもらうとしますよ。おあつらえの奴がいる事ですしね――』 『まぁ、今のお前なら触っただけで感電しかねないからなぁ』  ミューラーの眼はウエイブの方へと向けられ、ウエイブは七海の前へと庇い立った。位置的には敵二人の真正面に立つこととなり不意打ちすらも望めない。正面から敵を撃破するしか方法はない―― 『ッ!!』 《Ride・phase-highwave》  ドライバーのグリップレバーが中央に押し込まれた。ドライバーの中央にあるタービンが回転して波動を増幅する。ウエイブがその増幅された波動をブレイガンへと集約させてゆく。  ブレイガンの形態はガンモード――ウエイブの指がミューラーが動くよりも先に引き金を引いた。銃口から撃ちだされる青い水撃弾は真っ直ぐにミューラーへ襲い掛かかってゆく。だが、ミューラーは避けようともしなかった。 『くっ!』  水撃弾は直撃した――しかし、ミューラーは身じろぎすらしてくれない。むしろ、放たれ続ける水撃弾を真正面から直撃に晒されながら一歩、一歩と前進し続けていく。  更にそれだけではなかった。ミューラーの身体を迸る電流の勢いが増していき、それに合わせて異形が変化を始める。柔軟性のありそうな体表が引き締められ強靭さを思わせるような質感を生み出してゆき、背中からは電流を生みながら突起物が生えてゆきさらにその電圧を高めていく。
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