第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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『……どうしたの?』  不機嫌そうに尋ねるとユニはブレイガンに合体していた時の姿へと再び姿を変え、藍色の細いプレートを先端から伸ばす。それはまるで鍵のように見える。   『これは――』  ウエイブは左腕の手首へと目をやる。そこにあるのは海翔のリストバンドの位置に重なるサーフボードを思わせるようブレス――そこのスペースにセットしようとする。 ≪ニュッ、ニュー!!≫ 『えぇ!?』  しかし、柄となっても残っている羽を羽ばたかせてウエイブの手とは逆方向に力を働かせ手を押し返そうとあからさまに拒否反応を見せている 『こっちじゃない……あ――っ』  そこでユニが来た時の事を思い出し、ブレイガンをガンから単剣の形態へと変えユニをセットする。そして、トリガーを引きながらグリップを引き延ばしそのギミックを利用してポンプアクションを行う。 『ッ……!!』  すると短剣の白刃が弾け飛び奥から長めの片刃が展開される。白刃ではなく透き通った青い水晶状の直刃、ブレイガン・セイバーモード。 『剣の心得はない……が――』  新たな得物を手にウエイブはジェットスタートを切る。  真正面から突っ込んで来たウエイブに触手は伸ばされ、それらに対してセイバーを振るう。一振り、一振りに波動が乗せられ剣の軌道上に青い軌跡を描いて切り裂いていく。 『こうか――』 ≪phase・high‐wave≫  ドライバーのグリップレバーを押し込む。ウエイブは体内を駆け巡る波動へ感覚を向けながら刃の周りへと纏わせるように操る。すると、波が取り巻くように刃を軸にして渦を巻く。 『ハッ!!』  前方へと刃を振りその勢いに乗せ渦巻く波動を半月状の刃となり撃ちだした。 『ぐっ!!』  放たれた衝撃刃は触手を切り裂き大元のラルフへと強襲する。手前の触手を千切り払いラルフを切り裂く――その寸前の所でラルフが下半身を跳ね上げた為に刃は通り過ぎた。まるで無重力のような海中の浮遊感、その恩恵を受けているのはウエイブだけではなかった。 『……あのようなガキにこの俺がッ!!』  周囲の波動の流れをウエイブは感じ取る――周囲の波動がラルフに取り込まれている。それにつれて切り裂かれ触手が再び生えていく、元々の伸縮自在なのも関係しているのだろうが真性のウォーマであるが故の恩恵なのだろうとウエイブは察する。
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