1068人が本棚に入れています
本棚に追加
触手が振り回されている以上は何度も斬りつけている暇はない為にウエイブは先程から同じように退いては斬りつけ、退いては斬りつけヒット・アンド・アウェイを繰り返していく。だが、七海の為に一気にケリを着けたかった。
『そうか――』
トドメに適した一撃を叩き込むのに溜めを込めて近づけばあの触手に捕えられる可能性は十分に有る。そのリスクを削る術をウエイブは閃いてドライバーのグリップを押し込んだ。
≪phase・high‐wave≫
真っ直ぐにウエイブはエコーで捉えたラルフに向かって突撃、直ぐに当てずっぽうに振るわれる触手達の射程に突入する。エコーロケーションにより触手に囲まれたのが分かるがそれでもウエイブは退かない。
だが、かと言ってこのまま突っ込むわけではない。無重力空間にも似た自由度を利用する。
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉ!!!』
波動放出――ただ放出するだけじゃなくコントロール能力により方向性を定めて放ち剣を突き出した状態のまま身体を軸に回転する。
回転した瞬間に最高速にまで達するそれはまるで生きた波渦。回転により放出した波動と外気をそのまま纏いそのまま渦の刃となって触手を切り裂き墨幕をも斬りはらってゆく。
『な――ッ!!!』
そして、ラルフは墨幕を晴らされたことにより一瞬だけその渦刃を目の当たりにした。そして、一瞬の後で渦刃にその身体を切り裂かれ断末魔を残すこともなくその身体を泡となって爆散させた。
最初のコメントを投稿しよう!