第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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『クオァ!!』  だが、ミューラーの精細に欠いた動きはウエイブの刃を用いた攻撃をものともしない。刃を弾くのではなく、いくら切り刻まれようとも構わずにウエイブへ突っ込んで剛腕を振う。  ウエイブは拳に合わせ剣を振うか、拳を避けるかを瞬時に選び取っていく。ミューラーのように攻撃受けながら突っ込むことを選ぶことはしない、よけながら大振りな動きの隙へ刃を浴びせる。 『ン――』 ≪phase・high‐wave≫  更に振るわれる剛腕を掻い潜り、グリップを押し込み次の互いの向き直りざまにミューラーへ刃を振い浴びせた。  波動を乗せ、袈裟懸けに放った一振りが胸に大きく光る痕を刻み付けた。波動の残滓による発光が収まると同時に青い血飛沫が勢いよく噴き出す。 『ズァァァッ!!』 『なっ――』    だが、直ちに傷は塞がる。正確には完全な治癒ではなく生々しい傷を残したまま血が止まっただけ――並のウォーマなら絶命か痛みで動きを鈍らせられるだろう。しかし、怒りに燃えるミューラーの心は痛みに反応することなく電撃を纏った拳を撃ち出した。  反射的にセイバーが盾にされる。だが、衝撃にウエイブは吹き飛ばされセイバーは弾かれた。すかさず起き上がりウエイブが手を翳すとそれに呼応するようにセイバー、正確には装着されたユニがセイバーごとウエイブの手元に向けて飛ぶ。 『ゴァァア!』 『くっ……!「』  だが、畳み掛けてきたミューラーの突撃を躱したために得物をふたたび手にする事は出来ず、セイバーはコンテナに突き刺さる。即座に回収するのを諦めてウエイブは拳を構える 『バァァァァァ!!!』 『グァッ!?』  だが、周囲への電撃放射がウエイブへ浴びせられ、そこへ頭の付いた触手がウエイブへと伸びて巻き、電撃を流し込みながら縛りあげる。 『ッ……!!』  ウエイブは縛られながらも触手を千切ろうと力を込めようとするも痺れに邪魔をされる。なら波動の放射で振り払おうと身体を駆け巡る波動へと意識を向けた――その時だった。  突如として銃声が響き渡る。 『っ……』  銃声は単発のモノではなく機関銃のような連射発砲音だ。撃ちだされた弾はミューラーに――そして、ウエイブにも十数発以上が着撃する。  弾丸が飛んできた方向へ目を向けるとモンスターマシンが操縦者も無しにレーザーライフルを構えていた。
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