第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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 そして『チュミッ!』とサムズアップでもしているかのような爽やかそうな電子声が聞こえてきた。そして痺れと拘束が無くなった事に気付いて意図を察せた。 『遅い……そして、荒っぽい……でも助かったよ――』  レーザー弾により千切られた触手を放り投げ、銃弾を浴びせられミューラーへと距離を詰めた。脚を素早く二度振り上げて脇腹へと叩き込み、拳を構えてそこへ波動を集約させ真っ直ぐに突き出す。 『ヴォアッ!?』  着撃と同時に拳から青い飛沫が炸裂する――正拳突きと炸裂の衝撃がミューラーを弾き飛ばす。しかし、何事も無いかのように立ち上がった。 『……埒が明かないか』  剣を取り戻した所で先程の有様からして短期決戦でトドメまで刺せるかは分らない。頼みの綱は蹴撃だけだとドライバーのグリップへと手をのばす。 ≪カバァ≫ 『え……』  だが、肩の方から聞こえてきた一声にその手を止めた。 『ゴァァァ!!』 『グッ!?』  そこへ電撃が飛んできて波動を纏わせた手刀で払いのけてから大きく跳躍してミューラーを跳び越えた。そこで自分の肩へ目をやると分かりやすいシルエット――カバのシルエットをしたガジェットが乗っていた。 ≪カバァッ!!≫ 耳に入ってくる声が何故かこのカバから『気さくなダンディ』というキャラクターを想起させてくる。そして、その声で―― 『チャレンジ精神は評価するがその心意気、別の方向に使ってみないかぃ?』  と言った風にユニと同じようにその形状を変形させる――そして、ウエイブの手に収まった。   『成程、今度はこっちにつけるわけか――』  手に握ったままウエイブローダーへと目をやる。 ≪バオ――≫  そこへ忠告を受けた。自分をローダーへセットするとどうなるか――その上でキックに賭けるか、こちらに賭けるかと。その上で海翔の見立てで五分五分――それはリスクの話だ。だが、メリットはある。 『ここかな思い切るというのは――』  ガジェットから示されるローダーへ挿入して、ドライバーのグリップを押し込んだ。 ≪Dual Wave converge ・Armerd on≫ 『グッ……!!グァァァァァァ!!!!!?』  発声と同時に身体が押しつぶされたかと思うほどの重量が身体へとかかって膝を着く。荒れ狂うブルーとグレーブルーの二色の波動の奔流しウエイブを中心に渦巻き収束して弾け散る。
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