第3話 河馬 -アーマードフォーム-

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『……ゥ!?』  渦が消えウエイブの姿が露わになった。ブルーだったボディーはブルーグレーへと変わっている。  タダの色違いではなく頭部の鰭に似た角はカバの耳に似た形状の者へ変わり、細かった体型は筋肉が増量し少しマッシブに寄ったモノへと変わっている。 『ウ……ウォォォォォォッォァァァ!!』  咆哮に空気が震え、ボディには亀裂がはしりそこから波動が噴き出す。  まるで青い炎で燃え上がるように見える程の勢いで波動を迸らせながらミューラーへと狙いを定めた。 『ゥ……これ……はッ!!』  溢れ出るチカラが制御しきれない――まさか、目の前の怪人と同じように理性を削られるのか。しかし意識ははっきりとしている、暴走しているのは波動だけ。波動が制御しきれず荒れ狂っている。 『く、グ……ッ!!』  時間がない――波動が制御できない状態は長くはもたないことを悟りその青く燃え上がるような波動を纏ったままでウエイブは地面を蹴る。 『――ゴァぁぁッ!!!』  姿が変わってもウエイブを見失く事無くミューラーは電撃を吐き出す。だが、ウエイブは避けることなく真っ直ぐに、ひたすら真っ直ぐに突っ込んでゆく。 浴びせられる 電撃はボディの亀裂を広げていくが、進撃は止められない。そして、電撃は力ずくで突破され、そこに顔面へと拳が叩き込まれミューラーの発射口が塞ぎこまれた。 『ッ……!!』  発射の瞬間に打ち込まれた衝撃に収束された電撃は塞がれた口の中で炸裂、暴発する。飲み込んだのだろうか腹部を電撃が突き破った。 『ショウ……ラッ!!』  電撃で突き破られた腹に剛腕が振るわれ拳が打ち込まれる。低く重い音をあげてミューラーは腰を折り、ウエイブは容赦なく拳を打ち込み続けていく。  顔面、傷口、顔面、傷口と負傷した箇所を容赦なく拳を叩き込み、踵を振り上げて関節部へと叩き落す―― 『バッ……ァァ!!?』  関節から気持ちの悪い音を立てながらミューラーはその場に崩れ落ち、位置の下りた顔面へ膝打ちが叩き込まれ、更に首を掴み込まれコンクリートの路面を砕く勢いで叩きつけられた。 『ヌァ!!ラァ!!』  突っ伏すミューラーへ身体の奥の骨を狙っているかのように拳が叩き込まれ続け、獰猛な声と共に拳へ波動が乗せられて打ちつけられ肉のきしむ音がより生々しさを増し青い血が噴き出す。   
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