第3.5話 茶番

8/8
1068人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
「う、うん……」 「不器用ねぇ、何で友達になるのにそんな回りくどいのよぉ?別に仲が悪そうに見えるわけでもないのに。友達になるってのは――」  海花が七海の隣へと座り込むと自身のスマホを取り出しす。 「ケータイのアドレス、交換しよ」 「あ、ちょっと待ってください――」 「友達って入りはこんな簡単な感じでもいいの!」  わざわざリスクがあって回りくどい方法を取ったのが恥ずかしくなったのか、海翔は海花から顔を背ける。七海はケータイを取りに席を立ち、直ぐに戻ってきた。だが―― 「ごめんなさい……電源が入らなくて――」 「あら、充電切れ……・あ、持ち主ごと水没したせいなんじゃな?」  海花が原因を指摘した時、海翔の肩がビクッと震えた。そして、顔は冷や汗を流しながら段々と青ざめ身体は小刻みに震えはじめた。 「ご、ごめんな……本当にごめんなさい――――」  テーブルに海翔の下げた頭が激突し大きな音があげる。責任感を感じてるのだろうが「べ、弁償する……」と払う金額の大きさに戦慄しているのかその声は震えていた。 「た……たいようくんのせいじゃない、だ、大丈夫だよ……」  自分が親に怒鳴られるなり、殴られるなりすめば済む話だと――までは言えなかった。だが、この後金をおろしに銀行に行こうとする海翔を海花と一緒に止めることになったのだった。 ――― ――――――
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!