雑草と猫

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    僕は住宅街から253歩進んだ先にある、コンビニの隣にひっそりと佇んでいる公園に生えた、雑草です。 この間、公園に来た変わった感じのおばさんが一人で呟いていたから道のりを知ることが出来た。僕が何処の公園の草だか知れて、何だか嬉しい。 此処にはブランコと滑り台と砂場があって、それらで遊ぶ小さな女の子や男の子や夜になるとやって来る、何だか少し泥の付いた服を着てベンチで寝てしまう、ホームレスって呼ばれているおじさんなんかを眺めるのが、僕の日課。 時間がどれだけ過ぎたとか、そんな感覚は僕にはあまり分からない。でも、人が話してるのを参考に考える限りでは、僕はもう十年以上、一人で此処に居るみたい。 周りには沢山の僕と同じ姿の雑草が居るけれど、まだ話しはした事がない。呼んでも返事をしてくれないから。 でも、そんな僕にも最近友達ができたんだ。時々、この公園にやって来る猫のクロ。          
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