雑草と猫

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    最初に出会った時は風が気持ちいい夜で、僕がそよそよといい気分で揺れていたら、クロが来た。 遠くに居てもギラギラ光る2つの真ん丸な瞳を見た時は怖くて怖くて…。 その瞳を光らせたクロが体勢を低くしながら、まるで地面を這ってるみたいにスルスルと、段々とこっちに近付いて来る。 もう、僕は食べられちゃうんだと思ったよ。 そしてね、一層強く風が吹いて僕が激しく揺れた時にクロは僕目掛けて跳んできたんだ。 風が止んで、気が付いたらクロがゆらゆらと揺れる僕を叩いて遊んでるんだ。 でも、叩くと言うよりクロが優しく揺らしてくれていた感じだから痛くはなかった。僕はクロが僕を揺らして遊んでくれるのが楽しかった。 墨汁を零したみたいに真っ黒で大きな空に沢山の小さな星や大きな星がキラキラと瞬いて、大きな満月がにっこりとした顔をいっぱいに出して、柔らかい光で僕たちを照らしてた。 まるで、踊ってるみたいだった。クロの表情は分からないけど、きっと笑ってるんだと思った。僕にはそう見えたから。 これが、僕とクロの出会い。        
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