雑草と猫

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    クロは公園に入ってきて、真っ直ぐに僕の所に来た。そして、ちょこんと座って口にくわえていた何かを僕の前にぽいっと置いた。 それは、焼き魚だった。 クロが食べるのだろうと、じっとしているとクロもじっとしていた。 食べないのかな? 僕がそんなことを考えた時にクロは鼻で焼き魚をくいっと僕の方に押しやってきた。 その行動で僕に食べさせようとして持ってきてくれたんだって事はよく分かった。 けれど、困ったな。僕は物を食べることが出来ないみたいなんだよね。お礼を言って、クロが食べていいんだよって教えてあげなくちゃ。 そう思って僕は 「ありがとう、クロ。でも、僕は食べられないからクロが食べて」 と考えながら思い切り揺れた。 すると、クロは僕をじろじろと眺めた後でむしゃむしゃと焼き魚を食べていた。 よかった、伝わったみたい。クロと僕、もう友達になれたのかな?なれたよね、うん。お話は出来ないけど焼き魚も持ってきてくれたし、きっと僕たちは友達だよね。 それからクロは焼き魚を食べ終えて、骨を地面に埋めてしまってから僕と遊んでくれた。 楽しい時間は直ぐに終わってしまうから寂しい。遊んでいる間に辺りには人が居なくなって、ホームレスって呼ばれているおじさんがベンチで寝ているだけだった。 クロも帰るみたいで、毛繕いをしてから僕に背を向けて歩きだしてしまった。僕はさよならくらい言っておこうと目一杯揺れた。 「クロ、さようならー!」 不意にクロが僕を振り返った。その瞳の中にさわさわと揺れる僕が映ってる。 「うん、またな」 急に僕より少し低いけど、コンビニの男の人よりは高い声が聞こえた。ホームレスのおじさんは寝ているし…。僕が混乱して色々考えてる間にクロは公園からいなくなってしまった。 今のは…クロだったのかな?        
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