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クロが帰ったその後は、空が突然泣き出して、強く大きな雨粒が幾度も幾度も地面を叩いた、少し騒がしくて長い夜だった。
そして、長い長い夜を越えて朝日が昇る頃、雨は止んで、僕は今日もクロと遊べる事を一人、静かに喜んだんだ。
―けれど、その日どれだけ待っても、クロは公園に来なかった。
きっと、忙しくて来れないんだろうなって思ってた。クロはとても気まぐれな友達なんだ、僕は知ってる。
そうやって、人や鳥を眺めて一日を過ごしていると、近所に住んでるおばさん達が公園にやって来た。
「聞いてくださいよ!昨日も来たんですよ、アレ…」
「まぁ…、またですの?大丈夫でした?」
「えぇ、大丈夫だったわ。でも、庭に居るだけでも気持ち悪いわ、あんな薄汚い野良猫」
「そうよねぇ、真っ黒で不吉だし…何だか顔付きも生意気に見えるものね」
「今度、保健所に言って、連れてってもらわなきゃ!」
「そうそう。早く駆除しなきゃよね、駆除!」
ほ、けんじょ…くじょ…?
聞いたことのない言葉だから理解は出来ないけど…、真っ黒な猫って言ってたから、クロのことかな?
おばさん達もクロの友達なのかな?
クロは優しいから、きっとこの人達にも好かれているんだろうなぁ。
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